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2023.05.31

【新規開業】3つのポイント:3. 事前準備

こんにちは。


ホテル旅館専門コンサルタントの坂本です。

新規参入については、

2回で終わろうと思ったのですが、

やはり、

この

「事前準備」

に触れておかないと、

「同じ失敗を繰り返す事業者様」

を数多く見てきたので、

ご参考までに書いておきます。


一般的・基本的なことは、

前回、2回で書いたので、

そちらをご参考にしてください。


「プロのアドバイザー」



「頭の切り替え」

です。


さて、

今回の、

2.「事前準備」

ですが、


よく言われることですが、

「仕事の成功は事前準備が8割」

です。


私も、本気で、そのように

「実感」

しています。



逆に言えば、

新規開業に際して、

「必要な事前準備せず」

「場当たり的な対応」

をされている事業者様は、

「5年以内の、事業化・収益化は無理」

です。


なぜでしょうか?

一言で言えば、

「宿泊ビジネスを甘く見ている」

と言うだけです。

「なんとなく、周りが儲かってそうなので、始めてみた」

と言う事業者の、

なんと多いことか。


「私には、これだけの事業経験があるから、大丈夫」


と、サラリーマン経験で、

あるいは、

「他事業での経営経験があるから」

と考えている事業者の、

なんと多いことか。



「親父のやってきたことを、こうしたら、

もっとビジネスがうまくいくのに」

と2代目3代目が、無理な投資をすることの、

なんと多いことか。


これは、ホテル旅館に限らず、

「全ての事業に共通すること」

です。


ここで必要なのが、

前述の、

「プロのアドバイザー」



「頭の切り替え」

です。



初めてのビジネスは、

「知らない」

ことが当たり前です。


だから、

「自分の経験でやろうとする」


たまたま、うまくいく人もいるかもしれませんが、

「そもそも、今まで、”自分の経験”でビジネスを、

うまくできていたのですか?」


「サラリーマン経験は、ほぼ、なんの役にも立ちませんよ」



と言うことです。


私の古巣、

「京セラ」



「稲盛 和夫」名誉会長が、


「後継ぎを選ぶ時、どうしますか?」


と聞かれて、おっしゃった有名なエピソードがあります。


「うどんの屋台を渡して、現金5万円を渡して、

1ヶ月後に、一番儲けてきた人間を後継にする」

と言う話です。


もう数十年前の話ですが、

これは

「真実」

だと思います。


もちろん、

「運不運」

もあるでしょうが、

それも含めて

「経営者」

には、必要な要素です。


まずは、

商品です。

「どんなうどんにするのか」

「ダシはどうするのか」

「本当に、うどん、で良いのか?」

同じ屋台であれば、

「ラーメン」の方が良いのではないか。

仕入れについても、

原価率や、

こだわりの部分をどのようにPRするのか、

など。


次に、

「場所」

はどこでやるのが良いのか。


飲み屋街でやるのであれば、

「ナワバリ」

や、当然

「競合」

も増えます。


もしかしたら、

変なヤクザが現れて

「場所代」



「難くせ」

をつけられるかもしれません。


事前に

「警察」

への届出も必要です。


食べ物を提供するわけですから、

「保健所」

への届出、

「行政」

への届出、


場所によっては、

「商店街組合」

への挨拶、

などなど、


開店するまでに、

「ルールを遵守する」

と言うことが必要になってきます。


その後、

「仕入れ業者」

を選び、

「味」

を整え、

「価格」

を決定して、


必要な

「備品」

を購入して、

やっと商売を始める。


おそらく、

「1ヶ月では開店できない」

と思います。



であれば、

今度は、社長へ、

「2ヶ月ください」

と言うのか、3ヶ月ください、と言うのか。

などなど、


いろんな事態を、

「想定する必要」

があります。


特に、

「田舎の馴れ合いの中でビジネスを進めてきた方」

は、この情報や「やり方」が、

「古かったり」

「言わなくてもわかるでしょ」

と言う

「日本人独特の慣習」

で進めようとします。


いまだに

「昭和」

「30年前の知識」

で進める方が多いです。


もちろん、

「政治力」

をお持ちの方もいらっしゃるので、

それは、

「例外」

です。


最近、

ホテルの新規開業で問い合わせのあった例を挙げると、

ある、地方の地主様からの問い合わせでした。

父親から土地を引き継いだ60代男性で、

「投資家」と言うことで、

「ホテルが儲かりそうだから始めたい」

「図面を見てコメントをください」

と言うことで、

本来は、このレベルの仕事は、

「提携している建築士の方に依頼するため」

無料では受けないのですが、

「簡単なコメントだけお返しします」

とお伝えして、

提携している建築士の方にお願いしてチェックしてもらった結果が、

以下です。

・図面は、住宅の一部をリフォームしたことしかない地元建築士が、
始めてホテル1棟建を設計したのが明らか
(建築基準法違反などが、そこかしこに見える)

・コンセプト・ターゲットもバラバラというか、想定していない

・資金はあるが、リスクは取りたくない、と中途半端な客室数

・朝食付きかどうかも、いまだに未定(開業は6ヶ月後)

・「温泉」があるから、お客様は来る、と場所は度外視で、盲目的に思い込んでいる

・オーナーは、古くからの地主で、自分でまともなビジネスの経験なし

と言う案件でした。

具体的な建築基準違反などを指摘した上で、

私のビジネスパートナーの建築士を紹介しようとしても、

「地元の建築士にお願いしたい」の一点張り、

コンセプトについても、

「とにかく開業してから考える」

客室数も、「リスクは取りたくない」

「今の建築士だと、この階数までしか設計できない」

(私の提携している建築士から言わせると

「耐震基準とかクリアできるけど、知らないんじゃないの」と言うことです)


など、もう支離滅裂でした。

あくまで

「投資家」

の方でしたので、

「これって、建築基準法では、違法物件になる可能性があるので、

もし、転売する時、ほとんど値段つきませんよ」

とだけ、お伝えしました。

「わかった。もっと良いコンサルタントに相談する」

と言うことだけ言われました。


これは、投資家・不動産・建設業者に多いのですが、

賃貸マンション・分譲マンションを扱っていると、

「建築物の完成がゴール」

になっています。


ホテル旅館は、

「建築物の完成がスタート」

です。

「お客様とスタッフと、一緒に、育てていくもの」

です。


この、認識を買えていただかない限り、

「世の中に、要らないホテル旅館」

が、まだまだ増え続けることになるでしょう。


せっかく、お金を使うのでしたら、

有意義なお金の遣い方をして欲しいものです。


特に、

ホテルなどの宿泊施設については、

営業が始まってしまうと、

「ハード・ソフトともに、簡単に変更できない」

です。

そのため、

「事前にどれだけの準備を行っておくか」

と言うことが、

「本当に、ビジネスとしての、成否を分ける」

と言っても過言ではありません。


例えば、

事前に確認することで、

設計段階の施設面で、

よく抜けている、

あるいは、

不足している設備、

で言うと、

・従業員の事務所・仮眠室・休憩室はあるのか

・建築基準に違反していないか

・駐車場などは、宿泊定員に対して適正な数が揃っているか

・敷地内を車が走る場合、歩行者との区分けはできているか

・顧客の導線とスタッフの導線、取引先の導線は、どのように考えているのか

・エアコンの吹き出し口の向きは、お客様に不快な滞在にならない場所にあるのか

・リネン置場は、各フロアに、どれくらいのスペースを確保しているのか

・避難通路に問題はないか

などです。


また、

マーケティング的な視点で言うと、

・施設コンセプト(顧客に、どんな施設イメージを持ってもらいたいか)

・施設コンセプトカラー(コンセプトを伝えるための3つのカラー、メインカラー1色、サブカラー2色を設定する)

・ターゲット(最も喜んで、最も高いお金を払ってくれる顧客は誰か)

・ホテルシステム(サービスとシステムが合致しているか)

・集客方法(OTA+SNS)

・自社ホームページ(動画・写真含めて)

などなど、

事前に考えておくべきことが、

たくさんあります。

これらを、

しっかりと、

「プロのアドバイザーの意見を聞きながら」

「自分が理解できないのであれば、頭を切り替えて」

「若手に任せることも検討して」

「円滑な、新規開業に結びつける」

ことで、

「確実に成功する新規開業」

を実現してください。


日本に、

さらに、

「魅力的な宿泊施設」

が増えることを、

心から期待していますし、

そのような施設の開業のお手伝いができれば、

こんなに嬉しいことはありません。

一緒に、魅力的な日本を、宿泊施設を創っていきましょう!