代表写真

当社の考え

ブログ

2023.05.05

【ホテル自主再建】5つのポイント:5. 稼ぎ続けられる、人が育ち続ける「仕組み作り」

こんにちは。


ホテル旅館専門経営コンサルタントの坂本です。


さて、前回に続いて

「ホテル自主再建5つのポイント」

について、解説します。


ポイントは、

以下の5つです。


1. 既存経営層の完全な退陣

2. ターゲット設定と集客方法の適正化

3. 料理メニュー・宿泊プランなどのサービスコンテンツの見直し

4. 社内インフラ・宿泊施設の修繕・魅力アップ

5. 稼ぎ続けられる、人が育ち続ける「仕組み作り」


それぞれの5つのポイントについて、

解説します。


今回は、

5. 稼ぎ続けられる、人が育ち続ける「仕組み作り」

について、解説します。

さて、

自主再建について、

前回まで、

4つのポイントをお伝えしました。


しかし、

この取り組みが、


「時代に合わせて」


「顧客に合わせて」


「周辺環境に合わせて」


「変化・進化させられる」


ことが、


10年後


30年後


100年後も


生き残る事業を創るためには、


必要です。


ダーウィンも、


「強いもの、賢いものが生き残るのではなく、

変化に対応できたものが、生き残る」


と示しています。


そのためには、


「自律的に考える組織」

「自律的に運営を回す仕組みづくり」

「変化を求め続ける企業文化」


が必要です。


では、具体的には、

どうすれば良いのでしょうか?

ポイントが3つあります。


1. 常に繁盛している宿泊施設や飲食店に学ぶ(真似ぶ)


2. 若手人財・女性・外国人登用で異なる視点を導入する


3. 上記の2つのポイントが常に回るように社内制度を設定する


です。


それぞれについて、


解説します。

1. 常に繁盛している宿泊施設や飲食店に学ぶ(真似ぶ)


これは、必須の考え方です。


多くの旅館再生に携わってきましたが、


ほとんどの経営者が、


「井の中の蛙」状態、


特に2代目、3代目経営者は、


「世間知らずのバカボンボン」


の方が多いのが、本音のところです。


この方々を、


「本気で後継者に育てたい」


のであれば、


最低でも、


「異業種で3年勤務」


「同業種で3年勤務」


が、必要です。


もちろん、


親や会社のコネクションなどない会社


で、他の新入社員や中途入社者社員と


同じように勤務すること


が重要です。


異業種は、できるだけ「大手企業」が良いです。


なぜなら、


大手企業は、


「社内制度が整っている」


からです。


私自身、


最初の就職から12年間、


いわゆる「大手電子部品メーカー」で


正社員として勤務しました。


支部の労働組合役員もさせていただきました。


事業本部のある事業所、

地方営業所、

都市部営業所

などを経験することで、

「社会人として知っておくべきこと」

を研修で教えてもらい、

「整った社内制度」



「当たり前の制度」


として利用していました。


ところが、


中堅企業は比較的整った会社もあるとは思いますが、


中小企業


零細企業


になると、そのような制度は、整っていません。


そもそも、


「そのような制度自体を知らない」


経営層・従業員ばかりです。


「知っている」


と言うことは、


再建において、


非常に重要なポイントです。


そして、


できれば、


このような制度について、


「在職中に、テンプレートを自分で持っておく」


ことをお勧めします。


もちろん、


「守秘義務」などがありますので、


犯罪に触れない情報・テンプレートを保有してください。


そして、


「同業種」


ですが、


これは、


可能な限り、


「繁盛している同規模程度の宿泊施設」


での勤務が良いと思います。


「繁盛している」


とは、通年で、


「稼働率が最低でも70%以上」


できれば、90%以上が理想です。


「同規模」


と言うのは、


「客室数」で判断されるのが良い、


と思います。


また、1施設ではなく、


「複数施設を運営している」企業


あるいは、


「多角化して複数事業を経営している」企業


が良いと思います。


私自身、


この


「ホテル旅館専門コンサルタントになる」

と決めて、

「そのために、どの会社で働けば、最短ルートでなれるのか」

を考えて、

長野県軽井沢にあるリゾート旅館へ

転職しました。


ここは、

「稼働率100%が当たり前」

の宿泊施設でした。


社内制度も、

旅館としては、かなり整っている旅館でしたが、

大手企業から転職した私にとっては、

「まだまだ足りていない」

ところがたくさんあり、

「私自身も、多少のお役には立てる場所があった」

旅館です。


そして、

「この旅館を最初に選んだ自分を、心から褒めてあげたい」

と言う気持ちでいっぱいです。

それくらい、

「学ぶこと多き旅館」でした。

最初の旅館を退職してから10年以上経ちますが、


「いまだにこの旅館以上に完成度の高い、

社内制度の整った旅館を、見たことがありません」


お金をかけている旅館はたくさんありますが、

ほとんどが、

「うまく仕組み化できておらず」

「宝のもち腐れ」

になっている旅館でしたら、

山ほど見てきましたが。


自施設への就職後は、


「必ず1年間は現場経験を積む」


こともお勧めしています。


「自施設での修行」は、


「繁盛している宿泊施設」



「自施設」

のギャップを知るためです。

後継者が、

このことを知らずに、

経営を引き継ぐと、


「悲劇にしかならない」


ことを、今まで数多く見てきています。


ホテル旅館でしたら、


・フロント周り

はもちろんですが、

・レストラン

・客室

・調理補助

・清掃

・施設管理

・経理

・総務

などは、必須のポジションかと思います。

これを1年で経験するわけですから、

かなりハードだと思いますが、

この程度ができないと、


「何をしても、現場の同意は、得られない」


と考えて、真剣に、真摯に取り組むことが重要です。



さて、2つ目のポイント

2. 若手人財・女性・外国人登用で異なる視点を導入する

この提案をすると、

「人手不足だから難しい」

と言う経営者が多いです。

それは当然です。

それくらい、


「他業種含めて、優秀な人財を奪い合っている」


状況です。


また、


「優秀である = 有名大学を卒業していれば、良いか」


と言われても、


「分不相応」

「宝の持ち腐れ」


と言うことになりかねません。


まずは、自施設の身の丈にあった人財の採用をお勧めします。


その上で、


他社の求人情報を確認して、


時給であれば、100円でも、


月給であれば、10,000円でも、


「給料はできるだけ、高く設定する」


ことを心がけてください。


「昭和の経営者」は、


どうしても


「従業員はコスト」


と言う意識が抜けません。


違います。


「従業員は投資」


です。


時給で考えれば、


1ヶ月100時間働いてくださったとして、


月の支払いでいえば、10,000円違うだけです。


月給で考えれば、


1年間で12万円違うだけです。


この投資で、


「他社より少し優秀な人財が採用できる」


と言うのであれば、やるべきです。


ここでも、


「そうすると、既存社員の給料の見直しも発生する」


と言うことを言われる経営者の方が、大半です。


私からすると、


「数年間、長い方だと、数十年間働いていて、

新卒社員・パートと同じ給料」


と言う方が、驚きです。

せめて合わせるか、

スキルがある分、

「さらなる上乗せを検討する」のが、

「当たり前」

の話です。


これができないのであれば、

「経営者としての資質を疑ってください」

としか、言いようがありません。


そして、採用する人財ですが、


既存のフロント候補、

調理候補

などの職種で考えることも重要ですが、

今は、

「パソコン専門知識+フロント業務」



「デザイン知識+施設管理」

といった、


一見、


「宿泊施設の運営に関係なさそうに見える」


「プラスアルファの専門性」


を持つ人財採用が重要です。

そのため、

「IT系の専門学校卒」



「美術系大学出身」

などの人財を採用することをお勧めします。

料理人も同様で、

自施設に、

「優秀な指導ができる料理人」

がいるのであれば、

学歴はあまり関係ないのですが、

指導できる料理人がいないのであれば、

やはり、


「自分で店舗運営を経験したことがある料理人」


を採用すべきでしょう。


ポイント3でも述べましたが、


「料理改革は、自主再建における最優先すべき重要事項の一つ」


です。


ここは、ある程度の給料をお支払いしてでも、


「魅力的な料理を創る料理人」


を、


「必死で口説き、必死で採用すること」


が、絶対に、必要です。


若手人財についても、女性についても、外国人についても、


同様です。


「適材適所」


を意識して、


「役割 = 肩書(年齢関係なく、最低でもマネージャー以上)」

「権限 = 月に、年間に、いくらまで使えるのか」

「責任 = 失敗したらクビ、ではなく、結果と評価を伝えて、何度でもトライできる人事評価制度の導入」

を明確にして、

「自分たちが思いつかないアイデア」

を、

「存分に発揮できる環境」

を整備しましょう。



さて、3つ目のポイント

3. 上記の2つのポイントが常に回るように社内制度を設定する

です。

このポイントについては、

例えば、

・フロントシステムなどの社内インフラ整備

・人事評価制度の整備

・チェックリストの作成

・マニュアルの作成

・企業文化神道のための研修の頻繁な実施

・朝礼・夕礼の実施

・社内情報共有ツールの活用

・スマホやパソコンの全社員使用できる環境整備

・人財採用の他チャンネル化

・社内提案制度の導入


などなど、たくさんあります。

上記全て、重要ですが、

おそらく、全てを一度に行うのは、

「不可能」

です。


一つづつ、


従業員の意見を聴きながら、


繁盛している宿泊施設の事例などを、


本で読んだり、ネットニュースで見て、


「自施設にあった形で導入を検討」


したり、


と言うことになるかと思います。


そして、


「このように他施設の取り組み事例や、自施設の従業員のアイデアを、

貪欲に、受け入れる組織」


こそが、


「稼ぎ続けられる、人が育ち続ける”仕組み”」


なのです。


立ち止まっていては、


「何も変わりません」


変わり続けるためには、


「常に吸収」


と言う貪欲な姿勢を、


「全社員が持ち、それを評価する制度」


「それを実現する方向で、積極的に取り組む企業文化」


こそが、


「最も重要な仕組み」


なのです。