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2023.05.01

【ホテル自主再建】5つのポイント: 1. 既存経営層の完全な退陣

こんにちは。


ホテル旅館専門コンサルタントの坂本です。


色々な宿泊施設に、コンサルタントとして、

あるいは場合によっては、

総支配人や支配人として経営改善に携わります。


そして、時には、

金融機関様



保証協会様

などから

「再生」

一般的に日本では、

「廃業や事業承継・売却」

をさすことが多いですが、

についてのお声がけをいただくことがあります。


当たり前の話ですが、

債権者や地域金融機関は、

「債権放棄」などが伴わない、

「自主再建」

を希望します。


今回は、

「ホテルの自主再建」

についてのポイントをまとめたい、と思います。


ポイントは、

以下の5つです。


1. 既存経営層の完全な退陣

2. ターゲット設定と集客方法の適正化

3. 料理メニュー・宿泊プランなどのサービスコンテンツの見直し

4. 社内インフラ・宿泊施設の修繕・魅力アップ

5. 稼ぎ続けられる、人が育ち続ける「仕組み作り」


それぞれの5つのポイントについて、

解説します。



まず、


1. 既存経営層の完全な退陣

について。

数年、数十年、


経営・運営を頑張ってこられたのは、

重々わかります。


しかしながら、

「自主再建になった」

ということは、


「数年、数十年、赤字を垂れ流してきた」


ということです。


つまり、大変申し訳ない言い方ですし、


いろいろな社会情勢や市場の変化などがあったと思うのですが、


「変化に対応できない経営者」を続けてきた、


と評価となります。


同じく、


発想が固定化した、

あるいは、

いまだに

「昭和の経営手法」
= 市場が良くなるから、それを待つ


というようなスタンスの、


既存の経営者には、


「抜本的改革」

や、

「新しい視点でのサービスの開発」


「時代にあった料理メニューの見直し」


など、かなり難しい、と言わざるを得ません。


よく考えなくても、

「当たり前の話」

ですよね。


知らない人たちが、知らないことはできません。

私がご支援する宿泊施設には、

必ず、以下の3つの質問をお伝えします。

・稼働率90%以上で繁盛している宿泊施設のオペレーションを知っていますか?

・稼働率90%以上で繁盛している宿泊施設のマーケティング戦略を知っていますか?

・上記2つを知らないのに、どうやって改善するのですか?


申し訳ないですが、繰り返しになりますが、

「知らない人たちには、知らないことはできない」

のです。



でも、なかなか退いていただけません。

その場合は、

「株主報酬」



「役員報酬」

を、黒字化すれば確保する、

というようなことを前提に、

「債権者・金融機関から、退陣するようにお伝えする」

ことを行います。


いわゆる、

「経営と運営の分離」

を提案します。


これは、上述の通り、

「金融機関や債権者の理解」

が、絶対に必要になります。


この理解が足りないと、

「既存経営層の自主再建」

という、

「既存経営の延長線上」

での、

「口だけの、抜本的改革」

が行われるだけで、

結果的には、

「何がしたいのかわからない」

状況になります。



既存経営層が、

「新たに(既存の経営手法で)、頑張れば、頑張るほど、

赤字が膨らみ、取り返しがつかなくなる」

ということがおきます。



つまり、

「結果的に、廃業が早まる」

ということが、確実におきます。


ただし、

これで終わっては、

世にたくさんいらっしゃる、

「経営コンサルタント」の方々

や、

「ターンアラウンドマネージャー」の方々

の出番がありません。

上述の方々で、

「ホテル経営の経験があり」

「ホテル運営の経験があり」

「ホテルの現場経験があり」

そして、最も大切な2つのこと、

上述した、

「稼働率90%で稼働し続けているホテルや旅館の姿 = 再生後の”あるべき姿”」

が、”複数”施設の経験を持ち、今回の施設に対するイメージが、できていて、

「その再生すべき宿泊施設に、最も合致した姿へ、アクションプランを組み立て、実行できる」


経営コンサルタント、

あるいは、

ターンアラウンドマネージャー

がいれば、

「既存経営者による自主再建」

の可能性は、高まります。



「会社・事業を残すために、既存経営層は、完全退陣」

が基本ですが、

「既存経営層を残すために、上述のような支援者」

へ依頼することが、絶対条件となります。

ただし、

この場合、非常に重要なのは、

「この再生に必要な2つのポイントが実行できる人財」

が、

「絶対的な運営権限を持つ」


「絶対的な金融機関の支援がある」


状況でないと、機能しません。


こういったポイントポイントを抑えていれば、


正直、自主再建は、


「ある一定の資金さえあれば」


それほど難しいことではありません。


私が、今まで関わった案件でも、


例えば、

「経営コンサルタントとして、あくまでアドバイスだけ、決めるのは社長」

という、

「絶対権限」

について、手を緩めたために、

このポイント一つがずれたために、

料理改革で爆発的ヒットを飛ばしたものの、

値付け(宿泊プラン価格と集客戦略)を

社長に任せたために、

廃業した旅館もあります。

こういったポイントを抑えながら、

「自主再建」することは、

「既存経営層のプライド」

が許さないことが多く、

結局、無駄足になることが多いことも事実です。


「会社が、事業がなくなれば、その後の経営層の生活も難しく」なり、

時には、

「自己破産」

という選択肢に、ならざるを得ない、こともあります。

本当に、

「自己破産」

になると、何もできなくなります。

結局は、既存経営層が、

「生き残るためにも」

上述の1つ目のポイント、


「既存経営層の完全な退陣」


を選ぶのが、

ベストなのです。