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2023.04.30

インバウンド再来はいつ?いまでしょ!

こんにちは。
ホテル旅館専門コンサルタントの坂本です。

先日、奈良県の橿原市というところに、
宿泊する用事がありました。

すでに、中国の観光客が、バス2台分こられていました。

スーツケースなどを見ても、

「富裕層」のツアー客のようでした。


奈良市内もそれほど稼働率が高くないので、

おそらくここから奈良県の吉野・十津川、

そして和歌山に抜けるのでは、

という感じだと思います。


もしかしたら、とうとう、

中国富裕層が、

高野山や熊野古道の魅力に気づいてくれたのかもしれません。


いずれにしても、


インバウンドが地方へ広がる、


ことは、日本の観光にとっては、


「大きなプラス」


であり、



「いかに喜んで、お金を落としていっていただくか」


を改めて考えて、


コンテンツを作り、


インフラを整えて、


情報発信を行うか、


が重要です。





前後の日程で、

京都駅から、奈良方面へ特急に乗った際にも、

おそらく台湾からの20台女性2名が、

コスプレっぽい格好で、

奈良県の大和八木駅で降りて行きました。

地元の観光協会に聞くと、


「日本の古い街並みが整備されているので、

そこで写真とか撮るんじゃないかな」


とのことでした。


もう、


「世界中が、日本へ来たくて、ウズウズしてますよ!」


先日もネットニュースで、


岐阜県飛騨高山にインバウンドが押し寄せている

というニュースが掲載されていました。

https://www.gifu-np.co.jp/articles/-/192070


2019年までのインバウンドブームの中心は、


中国人・韓国人、でしたが、


アフターコロナのインバウンドは、


韓国人は変わりませんが、


続けて、台湾人・欧米系・東南アジア(特にインドネシア・マレーシアなど)


が中心です。


ここに、中国人が加わるわけですから、


本当に2030年にインバウンド6000万人は、


「実現可能」


な数字になってくるのではないでしょうか。


今後の大阪のホテルの予約状況などで、


インバウンドの回復を見ていると、

2023夏:学生をはじめとしたバックパッカーが戻ってくる(アジア全域に)
     理由としては、やはり学生は、反応が早いです。今がチャンスなので、早々に動き出すと予測します

2023秋:紅葉のシーズンです。欧米系を中心として、年末のクリスマス休暇にかけて、
     本格的にインバウンドが旧回復すると予想されます。

2024春:旧正月でのアジア系(特に中国人)の動きが、活発化して、大変なことになる可能性が高いです。
     逆に、受け入れ側である、日本の準備が間に合わないかもしれず、いわゆるオーバーツーリズムを起こして、
     不満を持ち帰るインバウンドが増えることが危惧されます。

2024夏:このコロナ禍の中で、
     インバウンドの受け入れ態勢ができている宿泊施設は、利益を享受して、
     できなかったところは、沈む、ことがはっきり数字で現れてくると思います。
     まだ1年ありますので、少しでも「インバウンド受け入れ態勢の構築」準備を始める必要があります。

では、具体的に、


「インバウンドの受け入れ体制の構築」


って何をすれば良いのでしょうか。


3つのステップで考えます。

1. PMS(ホテルシステム)・サイトコントローラー周りの整備
 OTA特に海外OTA(Booking.com,Expedia, agoda)への登録
 ホームページの整備・多言語化など

2. 施設内看板・サイン・説明ツール・周辺観光の多言語ツールの整備


3. 社内人材の教育・充実、インバウンド向け料理の開発

ですね。

1. PMS(ホテルシステム)・サイトコントローラー周りの整備

 ・OTA特に海外OTA(Booking.com,Expedia, agoda)への登録

 ・ホームページの整備・多言語化については、いうまでもなく、

 ・レベニューコントロールの導入などが、

 絶対に必要です。


 「基本の基本」です。取引金融機関にお願いして、

  融資をもぎ取り、整備しないと
 

 「生き残れません」


もし、生き残りたいのであれば、


 「絶対に対応しなくてはいけない」


ことです。


もし、「無理」というのであれば、


本当に「廃業」という選択肢を選ばれることをお勧めします。



2. 施設内看板・サイン・説明ツール・周辺観光の多言語ツールの整備

 ホームページの整備にもつながるのですが、

 例えば、最寄りの空港・新幹線駅からの交通手段の掲載、

 周辺観光動画・写真・料理の写真+説明文書、などは、

 「最低限掲載しないと話になりません」


加えて、


 ・館内の印刷物関係(宿帳・館内案内図・館内ルール・宿泊約款・料理説明)などの多言語化

 ・大浴場や温泉の入り方の多言語化

 ・周辺観光案内(観光マップなど)の多言語ツールの入手(観光協会へ行けばもらえます)


なども、確実に揃えて置く必要があります。



3. 社内人材の教育・充実、インバウンド向け料理の開発
 
 まず心理的に「外国人来たら嫌だなー」という日本人は、多いです。

 そこで、もし可能なのであれば、

 思い切って、最寄りの日本語学校・大学などから



「留学生アルバイトを、最低でも2-3人雇用する」



 ことをお勧めします。

 もちろん「日本人よりも時給は上」です。

 そして、「ちゃんと、丁寧に、教育・研修などを行う」

 ことで、「大きな戦力」として活用することが、まず第一です。



 その後、日本人スタッフも、留学生スタッフと仲良くなることで、

 日本人特有の「外国人アレルギー」がかなり和らぐことが期待できます。


まずは、上記の3つのステップを、


「可能な限り早急に」


対応することが、


「生き残るために」


「近い将来、確実にくるインバウンドブームで稼ぐために」


そして、


「わざわざ日本へ来てくれたインバウンドの皆様に喜んでいただき、
わすれられない滞在を提供するために」



絶対に、必要なことです。


さて、冒頭に、


「すでにインバウンドが地方へも推しを伸ばしてくれている」


という話をしました。


コロナ禍の中で、


日本について、インターネットなどで情報収集して、


「よし、絶対ここにいってみよう」


という方が、これほど多いのは、


正直驚きですし、


前回のインバウンドブームが、


ここで、大きく貢献してくれています。


なぜなら、


「日本人は情報発信が下手」


だからです。


仕方ない部分もありますが、


そう言っていては、何も進みません。



まずすべきは、地方は宿泊施設が足りていません。

が、これは、一朝一夕でできることではないので、


「できる企業・個人から始める」


くらいしかアドバイスできません。


ただし、画一的な、いわゆる


「東京型ホテル」


ではなく、


「地方の特色を生かした宿泊施設」


を考える必要があります。


外観はもちろん、スタッフの制服、料理、器、設え、などなど


「空間づくり」


を意識する必要があります。




そして、本当に、皆さんが

「日本人であることの誇り」

を持ち、


「インバウンドの方々に、日本の素晴らしさを伝えたい」

と思うのであれば、

もっと日本のことを、地域のことを


「学んでください」


ということです。


前回のインバウンド訪日の不満は、以下の2つです。
①文化的コンテンツ不足

②日本らしさの演出不足

です。

「日本人が日本人であることの自覚」がほとんどないので、

「何をコンテンツとして提供すれば良いのか」が、

ほとんどの観光業の方が、理解していないことが、

問題です。

例えば「狂言と能の違いは?」

「茶道で、一服するのに、茶器を回すのはなぜ?」

のような簡単なところ含めて、


「文化的な歴史背景・説明・理由などの説明が不足」


しており、


「これらを補足する多言語の説明ツールが不足」


しています。

インバウンドの方々からは、


日本に対して、


「なぜ」「なぜ」「なぜ」が山盛りです。

でも日本人は、英語もほとんど話せないので、

説明ができません。



文化的なことに関しては、知識もないので、
やはり説明ができません。


「おもてなし」や「礼儀作法」も必要ですが、

それ以上に、「文化的な基礎知識」を今こそ、

日本人全体で学び直す必要がありそうです。



まずは、宿泊業や飲食業など観光業に従事する方々から。

その知識を得た上で、


地域の文化的な知識であったり特徴を覚えることから

始めないと、また同じことの繰り返しになってしまいます。



茶道を学びにきたアメリカの方を京都の茶道教室体験に連れて行った時、


「これだったらロスにある裏千家オフィスに行くほうが価値がある」


と言われたことがあります。

まさに、こういうことなのでしょう。




最後に、私は、観光系セミナーで、冒頭に聞く質問を。



「なぜこれほど多くのインバンドが日本へ来ているのでしょうか?理由がわかる人はいますか?」



セミナー受講者は、宿泊業など観光関連の方々ばかりですが、

明確な答えを持っている人は、


「皆無」


です。


私は、持っています。



これが、日本の観光業における、


最大の課題です。


「無関心」

「無頓着」

「無知識」


です。


みなさん、もう少し「学び」ましょう。

「外国から見た日本」

そして、

「外国人が知りたい日本」

について。