代表写真

当社の考え

ブログ

2023.04.21

【インバウンド対策】公共機関から宿までのラスト3マイル、周遊する20マイル

みなさん
こんにちは。

ホテル旅館専門コンサルタントの坂本です。

私が支援させていただくホテル・旅館の多くは、

50室以下の小規模施設が多いです。


場所は、公共交通機関から1-5kmくらい離れていることが多いでしょうか。


駅前には、タクシーなどなく、

宿に連絡して「迎えにきてもらえたらラッキー」くらいです。


インバウンドが急激に回復しています。

<産経新聞ネット版より抜粋>
https://www.sankei.com/article/20230419-RF74M3Z26NKVNOKZHSTBMY6BQI/


日本人は、真面目なので、

「送迎が当たり前」と考えてますが、

インバウンド、特に欧米系の旅行者(バックパッカー)は、

「5kmくらいなら歩いていく」

のが普通ですし(その代わり道順をホームページに載せといて!)

富裕層は、「空港からタクシーorハイヤー」が普通です。


なので、それほど気にする必要がないのが現状です。

いずれにしても、

「なんとかして行きます」

というスタンスです。


ここに、もしかしたら、


インバウンドと日本人旅行者の、

根本的な考えの違いがあるのかもしれません。


インバウンド、特に欧米系の方々は、

「プロセスを楽しむ」

ことを重視します。


旅館について、食事をして、温泉に入り、

日本文化を楽しむ、

ことも大きな目的の一つですが、

そこへ到着するまでの「自然環境」であったり、

「働いている人たちをみたり」

と言う文化背景も含めた「プロセス」を楽しんでいます。


日本人は、


「とにかく、目的地へ最短距離で一直線」

と言う傾向があります。

これはこれで、戦後の高度経済成長を支えてきた、

素晴らしい考え方、だとは思うのですが、

もう少し、「余裕=遊び」が欲しいですよね。


さて、旅館へ到着した後こそ、

実は「滞在の満足度を上げるための仕組み」が必要な状況です。


インバウンドの方によっては、


「旅館でのんびり」と言う方も多いでしょうが、


やはり、アクティブに周辺を散歩したり、走ったり、

時にはレンタサイクルをしたり、

と活動的に過ごしたい方も多いです。


ちなみに、私が京都嵐山で経営していた民泊3部屋では、

6台のレンタルサイクルを置いていましたが、


一番遠くまで行った方は「大原三千院」まで自転車で行きました。


これって、京都に住んでる方なら、想像できると思いますが、

普通の日本人は絶対にしません。


約26km、2-3時間は最低でもかかるでしょう。

途中、色々立ち寄れば、一日がかりの旅行です。

それも普通のママチャリで、ですよ。


嵐山のレンタサイクルのお店の方と話した時も、


「嵐山のレンタサイクルから清水寺」くらいは、

当たり前、だそうです(京都の西の端から東の端で10km弱くらいです)。


ちょっと、私たちとは、価値観が違います。


ちなみに中国系・韓国系の方は、

レンタサイクルを借りる目的が異なっていることも多く、


「田舎を自転車で走り回る素敵な自分たち」


を演出するために、レンタルサイクルを利用することが多いです。


つまり簡単に言うと「インスタ映え」のため、

「簡易な田舎の原風景体験」のためです。


そのため1kmも走れば、「もういらん」と言って、

その場に置いていく方もいらっしゃるくらいです。


インバウンドと言っても、色々な方がいらっしゃるので、

ひとまとめにはできませんね。


さて、その滞在を充実させるためには、

レンタカー、という手段も重要ですが、


ほとんどのインバウンドは国際免許証を持ってきていなかったり、

レンタカーをうまく借りることができません。


そこで登場するのが、


レンタサイクル

キックボード


などの、


小回りのきく、移動ツールです。


これを宿に設置しておき、


充電MAPや予備バッテリーと一緒に貸し出すことで、


彼ら彼女ら、特に欧米系のインバウンドが求める、


「小回りのきく観光」が可能になります。


パリでは、公道でのキックボードNGになるようですが、

日本は、7月から道路交通法が改正されるようですし、

世界的には、キックボードは、


「ルールをちゃんと設定して、守らせて、安全に運営・運転する」


ことができれば、非常に有用なツールだと思います。

ちょっとした道端で写真を撮りたい時、

車だと見逃す上に、停めにくい、

自転車だと見逃す、

キックボードくらいのスピードがちょうど良いのではないでしょうか。


それこそ、余裕を持って、遊びを持って、


街を周遊する、楽しむ。


これこそ、今後、日本の観光に求められている一つの形だと思うのです。


そして、そこには、


「なぜこのような地形が生まれたのか」


「なぜこのような建築が生まれたのか」


「なぜこのような食事を食べているのか」


など、


「背景」や「プロセス」を説明する必要があります。


これらの

「宿泊場所=観光拠点」はもちろん、

「移動ツール」

「景観」などの観光コンテンツ

そして、

「背景・プロセスを多言語で説明する”何か(チラシよりはもう少し立派なもの)”」

があることで、


日本は、もっとインバウンドに対して、


魅力を発信できる、魅力的な国へと、


どんどん、変貌していくことと思います。


今、日本の観光に足りないのは、


「本物・本質」です。


表面上のおもてなし、に、インバウンドも飽きています。


と言うよりは、「理解できていません」


日本が、本格的に「観光立国」になるためには、


「本物・本質」の提供が必要です。


そのためには、ホテル旅館の人材が、


「まず、その地域のことを勉強する」


ことが重要です。


「日本の文化について、勉強する」


ことも重要です。


例えば、みなさん、
(以前、書いたかもしれませんが)

お寺と神社の違いはなんでしょう?


世界で最も古い宗教は何教でしょう。


もっと、根本的な質問をすると、



なぜ、日本に、これほどまでに、


インバウンドがきているのでしょう。


上記の内容は、自分で調べてください。


答えがあるものもあれば、ないものもあります。


でも、考えること、自分で想像すること、


がとても重要です。


そして、その想像の先に、



「独自のサービス・商品」が生まれます。



10年ほど前に、中国人旅行者が一時増えた時、


ある商店街の人から相談がありました。


「中国人がお店によってもらえるようにしたいんだけど」


私は、中国へは、かなりの回数・期間行っているので、


彼らが「白湯文化=あったかいのいものを飲む」文化を知っています。


日本では、お湯を飲めるところは、ほとんどありません。


喫茶店などで、特別にお願いしても、対応しているところは少ないです。


そこで、「店頭にウォーターサーバー置いて、お湯が飲めるようにしたら、中国人集まってきますよ」

とアドバイスしました。


案の定、爆発的に集まってきました。


しかしながら、これも予想通りで「何も買わずにお湯だけ飲んでいきます」と言う相談が次にありました。


複数店舗をお持ちの方なので、


「XX店限定のXX味」を各店舗で作ってください。


試食させて、

「この味は、この店でしか売ってない。

清水寺でも京都駅でも関西空港でも売ってないよ」


と言うか、書いて貼り出してください。


とアドバイスしました。


こちらも案の定、爆発的に売れることになりました。


そんな大したことではありません。


でも、中国の文化を知り、日本の観光の現状を知っていれば、


自然と出てくる「独自のサービス・商品」です。


日本人は、どうしても、


「すぐにマネします」


ぜひ、このレンタサイクルやキックボードは、


「マネ」していただき、日本中に普及させることで、


「小回りのきく周遊観光」の実現を行うことで、


さらなるインバウンドの満足度を上げたいですね。


さあ、インバウンドが急回復してきています。


受け入れ準備はできていますか?


次のインバウンドブームで、


一気に日本の観光産業を盛り上げていきましょう!


写真は、沖縄に拠点を置いている「RIMO」さんのものです。

私が携わっているホテルでも取り扱うことになると思うので、ご容赦ください!