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2022.03.23

ホテルと旅館は、もともと迎賓館!?

こんにちは。

ホテル旅館専門コンサルタントの坂本です。

7年ほど前に、金融機関向けに
「業種把握読本」という書籍の、
旅館章を執筆させていただいた経験から、
少しだけ、ホテル・旅館の歴史を学びました。

まずは、ホテルから。
日本での「ホテル」と言えば、
渋沢栄一が、「外国人VIP接待用」に
創立した「帝国ホテル」と、
関西では「リーガロイヤルホテル」
の2つが挙げられるでしょう。

上記の通り、
もともとは「外国人VIPのための」
「迎賓館」としての役割が、
非常に大きかったです。

ん!?
インバウンドブームのときと似ていませんか?
もちろん、一般の方が大多数を占めていますが、
明治の時代と、今日本のホテルに求められていることは、
案外、一緒なのかもしれません。

例えば、
・日本とはそもそもどういう国なのか?
・日本の特徴的なものは何か?
・文化?建築?景色、などなど

以前にも書きましたが、
4年ほど前まで、商工会議所で観光セミナーを3年間、
観光系の方々に講師をさせていただきました。

その時に、
「なぜ、こんなに日本へインバウンドが来てるのか、理由がわかる人」
と毎回質問しましたが、明確な答えは、一つも出てきませんでした。

日本のインバウンドビジネスの根本的な問題は、ここです。

「インバウンドが、なぜ日本に来ているのかを理解している人がいない」

ということです。

それについては、私は、もちろん明確な答えを持っています。
もちろん、一つだけではないです。
いくつもあります。

さて、話を戻しましょう。

ホテルについては、
「迎賓館」としての「特別感」が求められています。

日本人相手に長くビジネスをしていると、
どうしても「寝る場所」になっています。

違います。

ホテルは「特別な場所」であるべきです。
(バジェットホテルであっても、です)


さて、旅館ですが、
こちらは諸説ありますが、
いわゆる江戸時代の「参勤交代」の
お殿様が泊まった
「本陣」「陣屋」がルーツにある、という
理解が最もわかりやすいと思います。

その後の自由旅行に合わせて
「旅籠(はたご)」や「湯治場」という
ものが生まれましたが、

「本陣」「陣屋」については、
やはり「迎賓館」としての役割が大きかった、
と考えるのが普通でしょう。

江戸まで、あるいは江戸から地元までを
旅する中で、道々、その土地の特産品を
美味しくいただきながら上京する、

本陣・陣屋としては、
喜んでいただければ、また大きなお金を落としてもらえる、
満足しなければ、来年からは泊まってもらえない、
となると、必死でおもてなしをしたのではないでしょうか。

そうなると、ホテルも、旅館も、
やはり「迎賓館」としてのルーツがあり、

今、最も求められているサービスは、
この「迎賓館としての特別感」ではないでしょうか。

特に、インバウンドについては、
これは本当に重要な要素です。

では、具体的に「迎賓館としての特別感」とは、
どのようなサービスでしょうか?
どのような料理でしょうか?
どのような客室の設えでしょうか?

答えは、意外にシンプルです。
「その土地らしいサービス・料理・設え」です。

ただし、ちょっと注意いただきたいのは、
インバウンドにとっては、
「その土地らしい=日本らしい」です。

では、「日本らしい」とは一体、どんなことでしょうか。

それは「日本で普段から行っているスタイル」
というべきでしょうか?

では「スーツは?着物で接客すべきか?」
「英語は話さないけど、日本語で良いの?」
などの質問が出てくると思います。

ここは、とても難しいですが、
個人的には「やはりスーツよりは着物や作務衣の方が良い」
ですし、
「理解してほしいなら、カタコトでも英語で説明して、
日本文化について、少しでも理解してもらうことが特別感じゃないですか?」

ということになると思います。

今の日本のホテルにしても、旅館にしても、
接客スタイルなど見てても、

「全てが中途半端」です。

しかし、これが「日本のなんでも受け入れる国民性の良さ」
でもあります。

クリスマスも正月もハロウィンも七夕も、
なんでも受け入れる。

こんな「混合ミックス文化」だからこそ、
「本質が知りたい」というニーズがあるのです。

理想論ですが、

日本のホテル・旅館のサービスとしては、
・日本文化の本質を正しく理解した説明がある上で、
・特別感+日本らしさの演出
が重要になります。

具体的なことについては、本来は、
それぞれのホテル・旅館が、必死で考えることかと思います。

そうしなければ、「生き残れません」

必死で考えて、出てきたアイデアをまずは実行してみる。
この繰り返ししかありません。