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2022.03.21

旅館会席・器について

こんにちは。

ホテル旅館専門コンサルタントの坂本です。

今回は、ちょっと具体的な料理と器の経営改善の話について。

前回のブログで、
「レベニューマネジメントを行う」ことをお伝えしました。
その中で「宿泊プラン」や「写真」の見直しについても、
お伝えしましたが、
この「宿泊プラン」「写真」について、
最もローリスクハイリターンで効果が出るのが、
「料理」です。

結論から言えば、料理については、
「XXづくし」が最も効果的です。

例えば、
海の近くであれば「海鮮づくし」あるいは「お魚づくし」になるでしょう。

田舎で、水が綺麗であれば「豆腐づくし」あるいは「豆づくし」。

山であれば、季節によりますが「山菜づくし」
「きのこづくし」「ジビエづくし」などなど。

ここにもう少し説明がきがついて、
「12種類のお魚づくし」や、
「湯葉と豆腐の豆づくし」
「朝どり山菜づくし」
などになってきます。

これがあまり機能的な表現になってしまうと、
「料理は感性」なので、「感性」が損なわれます。

ところが、日本中の料理人の方は、
あまりこれが理解できておらず、
いまだに、いわゆる「旅館会席」を出そうとしています。

これを説明するには、今までの旅館料理の歴史について、
少し理解する必要があります。

もともと旅館のルーツの一つに、
江戸時代の参勤交代の「本陣」「陣屋」があります。

これは、遠く地方から江戸に向けて参勤交代するお殿様をもてなすための宿です。
その土地その土地の名物が出されます。
(現代の料理人は、この時代の感覚に戻れれば、一番良いのですが・・・)

気に入れば、お殿様から多くの報酬がいただけて、
気に入らなければ、来年からは宿泊してもらえない、と言うことです。

これが、明治・大正・昭和と時代が流れ、
戦後、1960年代からの「団体旅行」ブームになった時に、
いわゆる「旅館会席」が出されるようになりました。

その流れは1970年代1980年代も続き、
・団体旅行=旅館会席
・地元宴会=旅館会席
と言う方程式の中、バブル崩壊して、婚礼・宴会が減少していきます。

代わりに出てきたのが、「個人旅行」です。
これは、大都市圏から地方都市への観光旅行です。
そのため、料理にも「その土地らしさ」を求めるものになりました。
これが1990年代以降なのですが、
料理人さんが、この流れを理解できていない方が、
とても多いです。

すでに30年近く経っていますが、
いまだに「更新」されていない方が、本当に多いです。

逆に言えば、
ここを更新すれば、「その土地らしい食事」に
切り替えることができれば、
あっという間に人気の宿になれるのに、
なかなか一歩が踏み出せない状況です。

そこで、再度言いますが、
「XXづくし」がシンプルで、最も顧客に響きやすいアプローチであることを、
お伝えしています。

もし、何も浮かばなければ、
海=お魚づくし・えびづくし・鯖づくし、貝づくし、など
山=きのこづくし・山菜づくし・ジビエづくし、など
田舎=豆腐づくし・有機野菜づくし・発酵づくし
などが、参考になるかもしれません。

例えば、私が和歌山で提案した例で言うと、

朝食バイキングで「20種類の梅干しバイキング」

なども提案しました。
結局10種類で始めたのですが、
それでも顧客の反応はよかったです。
塩分濃度・メーカー・ハチミツ・ダシ、などで種類分けして、
ちゃんと好みの梅干しを見つけることができて、
その梅干しがお土産コーナーにも置いてある。

当たり前ですが、これくらいの仕組みを作る必要があります。

これは、例えば、明太子や漬物でも同じことが可能です。
最終的には、「お客様が喜んでお金を払いたくなる」落とし所、
を作っておく必要があります。

そして、料理がしっかり構成できたのであれば、
次は「器」です。

こればっかりは、料理人さんの感性なのですが、
これまた「古い」「ダサい」感性の料理人さんの、なんと多いことか。
ちゃんと勉強してますか?

グラス一つとっても、小皿ひとつとっても、
本当に「昭和の選択」としか言いようがありません。

「器」については、若い感性を
もっと活かす努力をしてほしいと思います。
料理長が選ぶのではなく、
10代20代の方の感性で選んでほしいと思います。

もちろん、料理と器の相性やバランス、ルールもあるでしょう。
しかし、それを否定して、あえてルール破りをしてでも、
打ち破る必要があるくらい、思い切った器を選んでほしいと思います。

写真についても、
「ボリュームたくさん、品数たくさん」の写真は、
もういいでしょ。

上述の通り「その土地らしさ」が、
最も象徴的に、インパクトを出して、
「表現された写真」を選んでください。

なぜなら、
みなさんが、初めての外国へ旅行へ行った時、
たくさんの料理が写っている写真をみて、
「このコースをお願いします」となりますか?

1品1品が写っている写真から選ぶと思います。

今後、インバウンドへのアプローチも考えれば、
今から、しっかりと、1品1品についての説明や、
アレルギー・素材などが解説されたものを作る必要があるからです。

日本人相手の商売は、もう限界です。
今回のコロナ禍でも、
「日本人はお金を払わない上に、文句も細かい。
これだったら、うるさいけど中国人の方が、まだよかった」
と言う声を、いくつもの宿泊施設から聞いています。

やっと気づいてくれたか、と言う気持ちです。
もちろん、まだまだ上品ではない外国の方も多い中ですが、
顧客として見た時に、個人的には、
「日本人は最も顧客として扱いたくない人種」です。

私自身、京都で民泊を経営していましたが、
「完全英語対応の日本人お断り」で経営していました。

なぜなら「言葉が通じる分、日本人は面倒臭い」からです。

さて、話がそれました。
料理について、器について、
ぜひ、「XXづくし」を考えて、
若い感性で「器」を選んでいただき、

「料理で選ばれる宿」に、
多くの宿がなれるチャンスです。

インバウンドが本格的に戻ってくるまでがチャンスです。

皆様の宿が、さらにさらに魅力的になるお手伝いを、
一緒にさせていただければ、と思います。